住宅ローンの金利は今後どうなる?低金利時代はいつまで?|column|株式会社torio real estate(トリオリアルエステート)
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コラム

Column

住宅ローンの金利は今後どうなる?低金利時代はいつまで?

現在、日本は日銀による金融緩和政策により、低金利の状態が続いています。

その影響で住宅ローンの金利も低水準で推移していましたが、近年は動きに変化が出始めています。

 

そこで本記事では住宅ローンの金利が今後どうなっていくのか、低金利時代はいつまで続くのか、解説していきます。

住宅ローンの金利は今後どうなる?低金利時代はいつまで?

住宅ローンの金利の決まり方

まずは住宅ローンの金利がどのように決まるのか、その基本をご紹介します。

住宅ローンの金利は、変動金利、当初固定金利、固定金利の3種類に区分されます。

 

このうち、変動金利は銀行が優良企業に貸し出す際に適用される1年以内の短期貸出金利(短期プライムレート)に連動しています。

短期プライムレートは金融機関同士がお金を貸し借りする際に適用される市中金利に連動していますが、この市中金利を調整しているのが日本銀行(日銀)が行う政策金利です。

 

日銀の政策金利は景気によって左右されるため、変動金利は日本の景気次第で変動する金利といえます。

一方の当初固定金利は借り入れ時から一定期間、金利が固定され、期間終了時にあらためて金利を選び直すものです。当初固定金利は、円金利同士を交換する円金利スワップのレートを基準にしています。

円金利スワップレートは、今後の金利予想によって変動する仕組みになっており、期待値が上がれば上昇し、逆に期待値が下がれば下降します。

3つ目の固定金利は、住宅ローンの借入期間中、金利が固定されることです。最初から最後まで金利が変動しないので、金利の上昇リスクを防ぐことができるのが特徴です。

 

固定金利は新規に発行された、償還期間10年の国債の流通利回りを基準に決められます。国債市場は将来の物価変動や金融政策の予想に応じて変動するため、固定金利もインフレであれば上昇、デフレであれば下降する傾向にあります。

あくまで影響を与えるのは予想や期待値なので、実際にインフレになっていなくても金利が上昇する場合もあります。そのため、現在の景気を反映して動く変動金利とは全く異なる動きを見せることもあります。

現在の住宅ローン金利の動向

それでは、2022年9月時点における住宅ローン金利の動向はどうなっているのでしょうか。民間金融機関の住宅ローン金利は以下のようになっています。[注1][注2]

 

  • 変動金利:年2.475%
  • 当初固定金利(3年):年3.050%
  • 当初固定金利(10年)年3.500%
  • 固定金利(フラット35/借入期間21年以上35年以下):年1.520~2.810%

 ※2022年9月時点の情報です。

 

なお、実際の住宅ローン金利は店頭金利から優遇金利を差し引いた金利です。 例えば店頭金利が年2.475%の変動金利を選び、優遇金利が年1.5%だった場合、年0.975%が適用金利になります。

[注1]住宅金融支援機構フラット35「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」

[注2]住宅金融支援機構フラット35「【フラット35】借入金利の推移 令和3年4月以降」 

今後の住宅ローン金利の動向はどうなるのか

固定金利は最初から最後まで金利が変わりませんが、変動金利は年に2回の見直しが行われます。そのため、景気動向によっては短期間で金利が上昇する可能性があります。

ここ数年、日本の変動金利は低水準が続いていますが、今後の動向に注目する場合、金利の引き下げ幅と日銀の政策金利に着目することが必要です。

金利の引き下げ幅

金利の引き下げ幅は、金融機関が独自に定めるものですが、銀行はなるべく顧客を集めるために他の金融機関よりも有利な条件を提示しようとします。

そのため銀行同士の金利の引き下げ競争が続いている限りは、引き下げ幅が大幅に縮小される心配はないでしょう。

日銀の金融政策

金融機関の店頭金利は、日銀が決める政策金利の影響を受けます。

前述のとおり、日銀の政策金利は現在の景気に左右を見据えて決定されるため、今後の景気の動向を注意深く見守る必要があります。 2022年6月17日付けで発表された日銀の金融政策運営によると、短期金利は日銀当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用すると決定されました。

[注3] つまり現時点では日銀はマイナス金利を解除する予定はなく、すぐに変動金利が上昇する可能性は低いといえるでしょう。

2020年より全世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症の影響により、日本はもちろんのこと世界の経済が厳しい状況となりました。 その影響は2022年になった今でも尾を引いていますが、当初に比べると経済の動きは徐々に活発になってきています。 今後、新型コロナウイルス感染症が収束し、再び経済が活発になれば、物価の上昇率が向上し、連動して金利も上昇するリスクがあります。 万が一変動金利が上昇した場合に備え、何らかの対策を講じておいた方が良いでしょう。

[注3]日本銀行「当面の金融政策運営について」 

将来の金利上昇リスクに備えるための対策

住宅ローンの変動金利が上昇すると、月々の返済金額が増加します。

住宅ローンは借入金額が大きいため、わずかな金利上昇でも返済金額が跳ね上がる可能性があります。家計に大きなダメージを与えないよう、将来の金利上昇リスクに備え、以下のような対策を心がけておきましょう。

固定金利への切り替えを検討する

2022年9月時点では、日銀はマイナス金利政策を続けており、固定金利も低水準で推移しています。

固定金利は変動金利よりも金利が高いので、固定金利に切り替えると月々の返済額は増えますが、その代わりに今後住宅ローンを完済するまで、金利変動の影響を受けなくなります。

今後の市場や景気の動向によっては、現在の固定金利よりも将来の変動金利の方が高くなることも予想されるため、低金利のうちに固定金利への切り替えを検討するのも一つの方法です。

消費者物価指数の動向に着目する

日銀は2013年1月に、物価安定の目標として消費者物価の前年比上昇率2%達成を掲げています。

[注4] この目標を達成できた場合、日銀は現在のマイナス金利政策を解消し、政策金利を上昇させる可能性があります。

総務省は毎月末に消費者物価指数を公表しているため、定期的に数字をチェックし、消費者物価指数が前年同月比2.0%を達成しそうになった場合、固定金利への切り替えを検討するのも一つの手です。

[注4]日本銀行『2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」』

繰り上げ返済のためのお金を貯める

金利の負担は一般的に、住宅ローンの返済期間が長くなるほど大きくなります。 そのため金利が上昇したタイミングで、まとまった金額を繰り上げ返済すれば、元金が減って金利の負担を抑えることが可能です。

来たる金利上昇のリスクに備え、今から繰り上げ返済のための資金を少しずつでも貯めておくと、いざというときの助けになるでしょう。 

住宅ローンの金利は今後上昇する可能性あり!今から対策を考えておこう

住宅ローンの金利は2022年9月時点で低水準のまま推移しています。

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、ここ数年は経済が大きく停滞したため、今すぐに住宅ローンの金利が上昇するリスクは少ないと言えます。

ただ、最近は徐々に経済が動き出しているため、景気や市場動向次第では消費者物価指数が上昇してマイナス金利政策が終わりを迎えるかもしれません。

住宅ローンは元金が大きいため、わずかな金利上昇が大きな負担となります。将来的に金利が上昇した場合に備え、固定金利への切り替えや繰り上げ返済資金の貯蓄などを心がけましょう。

こちらの記事の監修者

torio real estate店長 宿南 秀文

torio real estate店長

宿南 秀文

  • 平成18年度三井のリハウス(現在の三井不動産リアルティ株式会社)を経て、平成20年株式会社torioに入社。
  • torio創業初期から数多く顧客様との商談・交渉・マーケティングリサーチを行ってきた経験を活かし、お客様の保有数不動産価値の創造に努めます。