マンション売却にかかる6種類の税金と節税方法を解説
「無事にマンションが売れた!」と喜んでも、売却額がすべて自分の懐に入るわけではありません。
マンションの売却には、さまざまな税金が発生するからです。
しかし、支払うべき税金を少なくする方法はあります。
今回はマンション売却にかかる税金について、節税対策とともにお伝えします。
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目次
マンション売却時にかかる6つの税金
マンションを売却する際には、次の6つの税金がかかる可能性があります。
- ・ 譲渡所得税
- ・ 住民税
- ・ 復興特別所得税
- ・ 登録免許税
- ・ 印紙税
- ・ 消費税
このうち、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税の3つは、マンションを売却した際に利益が出た場合にだけ発生する税金です。
それぞれ6つの税金について、詳しく解説しましょう。
1.譲渡所得税
譲渡所得とは、マンション(不動産)の売却によって発生する所得のことです。
この譲渡所得額に対してかかるのが、譲渡所得税です。
譲渡所得の考え方は次のとおりです。
「譲渡所得額=マンションの売却額-マンションの購入額」
簡単にいえば、購入時より安い金額でマンションが売れた場合は譲渡所得がマイナスとなるため、譲渡所得税はかかりません。
ここで注意したいのが、売却額・購入額ともに、それぞれにかかった諸費用もあわせて計上できるということです。
【マンションの売却額に計上できるもの】
- マンションの売却価格
- 売却時に発生した費用(仲介手数料、登録免許税、印紙税、司法書士への報酬、立ち退き料など)
【マンションの取得費に計上できるもの】
- マンションの購入価格
- 購入時に発生した費用(仲介手数料、不動産取得税、登録免許税、印紙税、司法書士への報酬、リフォーム費用など)
なお、マンションの購入額は、土地の購入額と建物の購入額に分けて考える必要があります。
なぜなら、土地は経年による価値の下落がありませんが、建物は年月を経るにつれて価値が下がるため減価償却としなければならないためです。
マンションの場合、減価償却費は以下の式で計算できます。
「減価償却費=(建物価格+建物分購入費用)×0.9×償却率(0.015)×経過年数(※)」
※6ヶ月以上は1年、6ヶ月未満は切り捨て
以上の点を含めた譲渡所得の計算式は以下のとおりです。
「譲渡所得額=(マンションの売却価格-売却時に発生した費用)-(マンションの購入価格+購入時に発生した費用-減価償却費)」
そして、この譲渡所得額に対してかかる譲渡所得税額は、マンションを所有していた期間によって以下のいずれかとなります。
- ・所有期間5年以下(短期譲渡所得):譲渡所得税額=譲渡所得額×0.3(30%)
- ・所有期間5年超(長期譲渡所得):譲渡所得税額=譲渡所得額×0.15(15%)
この譲渡所得税は、売却した翌年の確定申告時(2月16日~3月15日)に納税します。
所有期間についての注意点
譲渡所得税額や住民税・復興特別所得税の税率を決める所得期間は、マンションを購入した日から売却する日までを考えるのではなく、売却した年の1月1日時点で決まることに注意が必要です。
たとえば、2015年4月1日に購入したマンションを2020年4月1日に売却した場合、所有期間は5年を超えると考えてしまいがちです。
しかし、売却した2020年の1月1日時点では所有期間が4年であるため「短期譲渡所得」となり、税率が長期譲渡所得の約2倍となってしまうのです。
2.住民税
住民税も先ほどの譲渡所得額に対してかかる税金です。譲渡所得税額と同様に、マンションの所有期間によって、以下のいずれかで計算されます。
- 所有期間5年以下(短期譲渡所得):住民税額=譲渡所得額×0.09(9%)
- 所有期間5年超(長期譲渡所得):住民税額=譲渡所得額×0.05(5%)
住民税は、売却した翌年に届く納付書により、4月~5月頃に一括または分割で納付します。
3.復興特別税
復興特別税も、譲渡所得税・住民税と同様に、譲渡所得額に対してかかります。
- 所有期間5年以下(短期譲渡所得):復興特別税額=譲渡所得額×0.0063(0.63%)
- 所有期間5年超(長期譲渡所得):復興特別税額=譲渡所得額×0.00315(0.315%)
復興特別税は、売却した翌年の確定申告時(2月16日~3月15日)に納税します。
4.登録免許税
売却するマンションの住宅ローンが残っている場合は、抵当権抹消の登録免許税が必要です。
通常は、司法書士に依頼すれば代理で抹消登記手続きをしてもらえます。
登録免許税は不動産1つにつき1,000円です。
マンションの場合、土地と建物の2つの不動産として扱うため、登録免許税は、1,000円×2=2,000円必要です。
5.印紙税
印紙税は、売買契約時の書類に貼る収入印紙代です。
印紙税額は、売買契約書の種類や売買金額によって決まっており、マンションの売買であれば、以下のように定められています。[注1]
- 100万円を超え500万円以下:1,000円
- 500万円を超え1,000万円以下:5,000円
- 1,000万円を超え5,000万円以下:1万円
- 5,000万円を超え1億円以下:3万円
上記は、平成26年4月1日から令和4年3月31日までに作成される契約書の場合です。
[注1]国税庁:No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
6.消費税
マンション売却時に発生する費用のうち、上記でご紹介した税金をのぞく費用については消費税が発生します。
たとえば、仲介手数料や司法書士への報酬・売却前のハウスクリーニング費用などです。
一つひとつは少額でも、まとまると結構な金額になる場合があるので注意してください。
なお、個人のマイホームは事業用のマンションとは異なり、売却時に消費税が発生しません。
マンション売却時の2つの節税対策
これまで見てきたように、マンション売却時には大きな税金がかかります。
ここでは、その税金を少しでも抑えるための方法についてご紹介しましょう。
所有期間が10年を超える場合は軽減税率特例が使える
譲渡所得税・住民税・復興特別税については、所有期間が5年以下または5年超で税率が変わることをご紹介しました。
しかし、所有期間が10年を超えると「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」が使えます。
これにより、6,000万円以下の金額に対する税率が、5年超の場合にくらべ20.315%→14.21%となり、約6.1%の節税になります。
ただし、次の5つの条件に当てはまっていることが必要です。
- 日本国内の自分が住んでいる家屋を売ること、または住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売った年の1月1日時点で、売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること
- 売った年の前年および前々年にこの特例を受けていないこと
- 売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例などほかの特例を受けていないこと。
- 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと
所有期間ごとの譲渡所得税・住民税・復興特別税をまとめると、以下のようになります。
所有期間 | 譲渡所得税 | 住民税 | 復興特別税 | 合計 |
短期譲渡所得(5年以下) | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
長期譲渡所得(10年超)※6,000万円以下の部分 | 10% | 4% | 0.21% | 14.21% |
長期譲渡所得(10年超) | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
なお、この特例は、次でご紹介する3,000万円の特別控除と同時に受けられます。
自宅マンションの売却時には3,000万円の特別控除が使える
さらに、自宅マンションを売却する場合は、所有期間にかかわらず譲渡所得から3,000万円を控除できます。
これにより、たとえば譲渡所得が2,500万円であった場合は控除後ゼロとなり、譲渡所得税・住民税・復興特別税の3つの税金は支払う必要がなくなります。
ただし、次の4つの条件に当てはまっていることが必要です。
- 日本国内の自分が住んでいる家屋を売ること、または住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売った年の前年および前々年にこの特例を受けていないこと
- 売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例などほかの特例を受けていないこと。
- 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと
夫婦共有のマンションであれば2人分使える
この3,000万円特別控除は、マンションを複数人で所有していた場合、各所有者それぞれが利用できることが特徴です。
たとえば、夫婦2人で所有していたマンションを売却して6,000万円の譲渡所得があった場合、夫婦それぞれの譲渡所得は3,000万円ずつになります。
そして、それぞれが3,000万円特別控除を利用できるため、最終的な譲渡所得はゼロとなり譲渡所得税・住民税・復興特別税は発生しません。
夫婦や兄弟姉妹などで共有しているマンションを売却する場合は、所有者全員でこの制度を忘れずに利用しましょう。
売却にかかる税金と節税対策を理解して売却益を多く残そう
マンションを売却したときにかかる税金は、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税・登録免許税・印紙税・消費税の6つです。
このうち、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税は売却によって利益が発生したときだけかかるもので、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」や「マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例」などを利用すれば、大幅に節税できます。
大切な我が家を売却したお金をできるだけ多く残すためにも、使える節税対策はしっかりと利用しましょう。
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こちらの記事の監修者
torio real estate店長
宿南 秀文
- 平成18年度三井のリハウス(現在の三井不動産リアルティ株式会社)を経て、平成20年株式会社torioに入社。
- torio創業初期から数多く顧客様との商談・交渉・マーケティングリサーチを行ってきた経験を活かし、お客様の保有数不動産価値の創造に努めます。